普通解雇とは
民法の修正
民法627条1項によると、当事者は、雇用期間の定めがなければ何時でも解約の申し込みをなすことができは、この場合、当該雇用契約は、解約の申し込み後2週間の経過によって終了する。このように民法は労働者の退職の自由、会社側の解雇の自由をみとめている。しかし、これでは労働者の生活が不安定になり、経済的に困窮してしまうことになります。
そこで、労働者の雇用保障と不利益回避という観点から修正され現在では法令などにより規制が加えれています。
労働基準法は労働問題や安全に関する最低限の規定を設けておりその中で解雇については労働基準法19条(解雇制限)では業務上の負傷や女性の産前産後での解雇の制限など・20条(解雇予告)30日前の解雇の予告や解雇予告手当の支給などによって解雇の制限を設けています。使用者がこれらの違反している場合は労働基準監督署に申告できることになっており、罰金等の罰則の対象になっている。
- (解雇制限)19条使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
○2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。 - (解雇予告)第二十条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。○2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。○3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。
解雇権濫用法理
民法の修正だけでは明文化の解雇規制には抵触しないが、社会的相当性に欠ける無謀な解雇にされてしまう。会社が従業員のことが単に気に入らないという場合には十分対処することができないため、これでは労使間の利益調整を著しく欠き、解雇規制の不十分さと就業規則による当事者自治による規制の限界を補うものとして、多数の判例の積み重ねによって解雇濫用法理が形成された。そして、最2判昭和50年4月25日民集29巻4号456頁・日本食塩製造事件は、「使用者の解雇権行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の乱用として無効になる」と教示し、この法理の内容を定型化するとともに、最2判昭和52年1月31日労判268号17頁高知放送事件では、「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、無効となる。」と説示して、同法理における「相当性の原則」を明らかにした。
労働契約法
解雇権濫用法理は平成19年12月労働契約法の成立で、そのまま労働契約法16条に移し替えられた。これにより、解雇権を例外的に規制する解雇権濫用法理が解雇権行使を規制する法理に発展したことを意味する。
まとめ
労働契約法の成立のよって、解雇が不当な場合に適用されていた「解雇権濫用法理」が解雇権行使を規制する法理に発展したことになります。
しかし、まだ、会社の解雇に対して「解雇無効」の主張をしなければ会社の言いなり。泣き寝入りになります。方法はいろいろありますが争わないと認められることは有りません。助けてくれと訴えないと誰も助けてくれませんし、多くの放棄した権利は、もはや回復することはできないことになります。