解雇回避の相当性 整理解雇の4要件(3)

解雇回避の相当性

事業者の主張立証

 企業はどのような解雇回避措置が必要なのか?

経費の削減・役員報酬の削減等・残業規制・新規採用の停止、縮小、中途採用・再雇用の停止、従業員に対する昇給停止や賞与の減額・不支給・賃金減額、転配・出向・転籍の実施、ワークシェアリングによる労働時間の短縮や一時帰休、非正規従業員との間の労働契約解消、希望退職者の募集等のうち複数検討されることが多いです。

 企業がどのような回避措置が必要なのかという点についてお話します。
倒産の危機にあるような場合には、人員削減の必要性が高いにも関わらず、解雇回避措置を十分に講じるだけの企業体力がない場合が多く、解雇回避措置を必ず取らなければならないとすることは過剰な要求となるし、企業規模や労務の内容によっては転配・出向やワークシェアリングといった手法は検討できない場合もあるのでこうした解雇回避そちまでは求められない場合もある。
 裁判所の方向性としては「相当な経営上の努力」「合理的な経営上の努力」などのが整理解雇の目的等に応じて、個別事案ごとに、実施された解雇回避措置が経営上の努力として相当かどうかを判断することになるので、整理解雇を計画する際、「相当な経営上の努力」「合理的な経営上の努力」が訴訟で認められる程度必要です。

労働者者側の主張立証

 やはり、一番多いものが争う事をしない労働者に対して解雇回避措置をとらずに解雇する場合です。しかし、事業者は裁判になると措置を実施したと主張する場合がありますが証拠が無い又は無理な証拠を作って提出する場合が多いです。たとえば手帳に後から書き加えて主張を補足するとか、役員報酬の減額を取締役会の議事録を作ったり、経費削減するよう日付を過去にさかのぼって従業員に周知したような程度のものを作って主張したりもします。
 主張に対して一時的に実施する措置と継続する措置とを分け解雇を回避するためにどの段階からどの程度の期間実施してきたのか今後どの程度の期間実施する必要があるのかを反論する必要があります。会社の規模や経営状態によって期間が異なる場合があるので複数年にわたって経営状態が悪化した場合や何らかの原因で短期間で経営状態が悪化した場合など状況により反論を検討する必要があります。例えば倒産危機にあるような場合は人員削減の必要性が高いにもかかわらず、解雇回避措置を必ず取らななければならないとするのは過剰な要求となる場合もありうる。この場合は組合や従業員へ財務資料を提示して状況を説明する必要がある。

整理解雇の4要件での戦い方(4)・・・に続く