「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当」とは?(2)

会社は簡単に解雇やクビに出来ません。

「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当」とは?

「客観的な合理的理由」が認められる場合でも本人の過去の勤務態度、反省の態度、年齢、家族構成、処分歴など労働者の処分との均衡、使用者側の対応・落ち度等に照らして、解雇が過酷に失すると認められる場合は、解雇は社会通念上相当とは認められず解雇権の乱用となります。

 使用者が客観的に合理的な理由を満たした場合の次の要件であり不法な動機・目的、労働者の情状、他の労働者の処分との不均衡、使用者の対応、落ち度、解雇手続きの不履行等のあらゆる事情をしんしゃくしすべきであるが、その判断にあたって前の要件「使用者が客観的に合理的な理由」において解雇事由の内容、性質、程度等との関係も併せて考慮する必要がある場合が多いです。

典型的な判例

 高知放送事件最高裁判例です。
宿直勤務のアナウンサーが寝過ごしてニュース放送に穴をあける事故を2週間のうちに2度起こして解雇された事案ですが就業規則所定の解雇事由該当性を認めつつ
1.本人の悪意・故意によるものではない
2.本人が謝罪している
3.ともに宿直した記者も寝過ごしており、その第2事故の記者はけん責処分をうけたにすぎない
4.会社が放送事故への対応を講じていなかった
 などの事情を総合すると、当該解雇は、社会的相当性があるとして是認することはできないと考えられる余地があり、解雇権濫用に当たると判断した。

まとめ

 そのほか、「客観的な合理的理由」が認められる場合であっても、解雇の目的が偽装で、不当な動機で行われた場合、社会的相当性を欠くので認められないことになる。
場合労働組合活動に熱心に取り組んでいた場合や労働条件について不満を言う労働者に対して行われる場合が多いです。