出向・転勤と自己都合退職を迫るブラック企業

裁判官も転勤族

日本では終身雇用が建前にあり、解雇は正当な理由が必要で難しいですが、雇用を守るための転勤や出向は比較的企業側が自由に命じることができます。独身者であれば自宅から遠方の事業所への転勤などは比較的容易ですが、妻帯者や自宅を新築した労働者にとっては苦痛でしかな方が多いとおもいます。企業全体で転勤制度が一般的で転勤の際の条件が整っていればほぼ転勤は拒否できないですし、裁判で争っても裁判官自体が転勤族ですから共感を得られることはありません。

出向・転勤・転配と不利益変更は別

 出向や転勤・転配は基本的には拒否は難しいですが、出向・転勤・転配に伴って資格手当や営業手当等が減らされたなど賃金の減額は不利益変更となりますからこの部分については不当な扱いとなりますから争う余地はありますが、これと出向・転勤・転配と絡めてしまうと労働者としては法律上不利な扱いとなってしまいますが作戦としては
「不利益変更については争いつつ出向・転勤・転配を受け入れる」場合は基本的に解雇できません。
「不利益変更の条件を拒絶し、出向・転勤・転配を拒否する」場合は解雇される可能性が高いです。
この2択になると思います。退職する選択肢はこのサイトの趣旨に合いませんので割愛します。

勝てる可能性をあきらめない

 労働者に転勤を命ずる場合、就業規則にその旨記載されている必要があり、尚且つ周知されていることが必要になりますし、記載がない場合は命じられても拒否できます。
 就業規則はあるが周知されていない場合も同様です。10人未満の会社や事業場では就業規則の設置義務がありませんから、無い可能性があります。また企業全体で100人であっても地方の営業所には7人しかいない所もあります。そのような事業場には就業規則は周知されている状態ではないことがよくあります。
 では、本社で設置され周知されている就業規則が、就業規則の設置されておらず周知されていない地方の営業所の労働者に対して適用されるか?という問題になります。

答えは「適用されない」です。

就業規則が法的規範としての性質を有する(最高裁昭和40年(オ)第145号同43年12月25日大法廷判決・民集22巻13号3459頁)ものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。

フジ興産事件最二小判平15.10.10 労判861‐5

高等裁判所では認められなかったようですが、最高裁で逆転しています。

 また、録音等によって新たな証拠を作っていくことで、不当な転勤命令を認められ勝てる可能性を見出すことができるのであきらめず戦う選択ができる可能性があります。